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2016年7月28日木曜日

別の方向にビソク前進を始めました!

長いブランクの末、ここでのビソク前進をやめることにしました。
夢はまだ持っていますが、とりあえず独立生活は辞めました。
無理に独立しなくても目的を持ち続けられることに気づいたからです。
そんなわけで、今はIT業界に戻り、サラリーマンをやってます。

ただ、一人で生きる体験をした後のサラリーマン生活は趣深いものです。
今はいろんな学びを感じながら、日々を有益に過ごしています。

ノリとしては、海外に長く住んでから日本に帰国した人の感覚に近いです。
違う世界を見てから、元の場所に戻ると、その場所は元の場所ではない。
そんな感じです。

さて、そんなこんなで、とりあえず、今の活動場所のご案内です。

 【すべらくの道】

今後ともよろしくお願いします。

2013年8月24日土曜日

再びのハケン活動について

◆巡り巡ってまたハケン生活

いろいろと遠回りをしまくって、またハケンなる仕事形態をしております。とりあえずIT系エンジニアという形です。でも、正直思うわけです。40歳でハケンってどうなんだよと。世の中ではだいぶ落ち着いてくる年齢じゃないですか。社会的責任も担っていて……と、ある程度、世の中を動かす立場に近づいているはずで……とか。

もちろん、以前、ハケンをしていた時に比べると、ずいぶんと状況は違います。妻がいて、娘がいて、そして今月には息子が生まれました。当時に比べて、背負うものはてんこ盛りです。もちろん背負うことが重荷だとか、そんなことを書くつもりはないんです。ありがたい存在です。

でもね、さすがにね、40歳になって、いいづらいですよ。「私には実現すべき夢があるんです」だなんて。「そろそろ現実的な選択をしろよ」「できるかできないかわからないことに家族を巻き込むなよ」「家族に安心な生活を提供しろよ」……と、私の内なる声もちゃんと言ってきます。いい大人ですから。

しかしね、私は思うんです。目前にある実現寸前の夢を捨てて、安定した会社員生活に逃げ込んだとして、どんなメリットがあるんだろうって。ここまで数年間の準備をしてきました。それこそいろんなことを犠牲にしてきました。年収もそうです。キャリアにしてもマニアックすぎて、企業に売り込みやすいキャリアではありません。

「メンタルの障害で困っている人がITエンジニアになる可能性を本気で目指すノウハウ」……なんてキャリア、マニアックすぎるでしょう(苦笑)。もちろん、私自身は全く無駄だなんて思っていませんし、今でもそのノウハウは磨いていきたいと思っています。たまたまメンタル疾患と診断されただけで、残りの人生を捨てるには、人生は長すぎます。

まあ、ともかく、私はハケンという仕事の形態を選んでいます。正直なところ、それまでいた福祉業界に比べると、いったい今までなんだったんだろうと思える程度の収入格差があります。だからこそ、今、夢を追えると思っています。夢を追うことで、家族にお金の心配をさせちゃいけない。(もちろんハケンだから安定性では不利なままですが。)

ただし、夢がないなら、やはりハケンなんて選んじゃいけないという考えは、今でも変わりません。ハケンはずっとできる仕事じゃないからです。それに「夢追い人」が、いつの間にか「夢老い人」になるリスクも私はイヤというほど感じています。だからこそ、私はハケン以外の時間は、ほとんど「夢」に費やしています。

この「夢」については、いつかまた、タイミングを見て書いてみたいと思います。かなり現実までの距離が近づいてきましたので。今回は「ハケン」という働き方について、もうちょっとリアルな視点、そして肯定的な視点で書いてみたいと思います。ネガティブなこともいくらでもかけますが、それではやはり前向きではありませんので。


◆ハケンという働き方のメリット

環境やタイミングにもよりますが、やはり大企業の仕事場にさくっと入れるということだと思います。なんだかんだ言っても大企業に入るためには多くの難関を越えなくてはなりません。大企業というと「歯車」というネガティブな印象を受ける人もいるかもしれませんが、このシステムも必要不可欠だなと、最近、特に思います。

私は、木材加工工場、国家公務員、第三セクター、中小企業、大企業、地方福祉NPO法人……といろいろな規模の事業場を経験してきましたが、良くも悪くも小さい法人では、「小さい世界でうまくいけばいい」という雰囲気があります。もちろん大企業でも「これが世の中のスタンダードだ」と勘違いしていることもあります。

しかし、私はどちらの経験も知っていることが重要だと思うのです。海に生きている人は「この海が世界のすべてだ」と思ってもいけないし、井戸に生きている人が「この場所が世界で一番正しいのだ」と思うのも違う。そういう意味で幅広く世界を知るために、ハケンというシステムは便利ではあります。

闇雲に仕事場を変えればいいとは思いませんが、通常、一度、大企業に入ってしまうと、よほどのことがない限り別の人生を選ぼうとは思いません。ぶっちゃけ、もったいないじゃないですか。その企業に入るために多くの時間をかけてきて、それで辞めちゃうなんて。おそらく周囲の反対を受けることも覚悟が必要です。もちろん、辞めて起業する人もいますが、それは少数派であり「よほど」のことがあったわけです。

しかし、ハケンであれば、「この仕事だっていつまでも続けていられないし」という現実もあり、一つだけのキャリアを積んでも意味がないという理由も十分にあります。つまり、大企業というノウハウの結晶の現場を移り変わりながら体験できるという意味では有利です。もちろん、そのキャリアを積極的に活かそうと思えば……という話ですが。

ところでキャリアといっても、「業務」そのものはあまり強みになりません。そうではなく、あくまでも「ノウハウ」の蓄積が強みになります。人為的ミスを減らすためにはどんな手段があるか、どんな対策をすると効率的になるのか、どんな進め方をするとスムーズにことが進むのか。そのあたりの普遍的なノウハウを蓄積することが鍵になります。


◆いろんなハケンに学ぶ

ハケンというと「業務を機械のように淡々とやる人」というイメージがあるかもしれません。少なくとも私にはありました。もちろんそういう一面もあるのですが、今、私がお世話になっているところのハケンさん(ちょっと形態は違いますが)を見ていると、非常に勉強になることが多いです。

プロパーさんの一手先を読んで、まるでコンシェルジュのように立ち回っています。面倒くさそうだなと思えるような業務、忘れているんじゃないかなと思えるような業務については、できる範囲の適切な準備をしてから進言にいきます。最初から自分でやるよりも、ある程度の準備がなされたいた方が取りかかりやすいことは間違いありません。

つまり、とりかかりの精神的ハードルを低くした上で、業務提案にいくという動きです。それでいて、越権行為にならないように十分に慎重に動いている。もしかすると、プロパーさん以上に神経を使って、クオリティの高い仕事をしているように見えます。そういう意味でいい刺激をくれるハケンさんです。

ただ、私もある程度の年齢を重ねました。昔なら、彼の仕事ぶりを完全再現できるように必死に目指していたかもしれません。もちろん、それは悪いことではありません。今でもいい部分で無理のないところは吸収しようと思っています。しかし、目標となる能力を身につけるコストを考えて、今はあまり「コピー」を必死にやらないようになりました。

いいわけのつもりではないのですが、「彼は彼の持ち味を無理なく最大限に活用して活躍している」と考えています。つまり、私には私が活用すべき資源があり、ゼロから他のコピーをするよりも、私なりに積み上げたノウハウで戦い(貢献)をすべきだと思うのです。ちなみに私の武器は「業務工程をシステム化して難易度と失敗率を下げるスキル」です。

夢を追いながら……ということではあるのですが、ハケンの仕事も非常に頭を使うやりがいのある仕事です。以前の業界にいる時はあまり言わなかったそうだったのですが、妻によると「初めて『やりがいがある』なんて聞いた」だそうです。夢も、そしてハケン仕事もおろそかにせず邁進しようと思います。

なんにせよ、刺激のある毎日というのは幸せです。

2013年6月16日日曜日

起業家に最も必要な管理とは

◆タスクよりモチベーション

デジタル文化の発達により、時間内に処理しなければならない行動の密度が凝縮されている昨今、タスク管理に関するコンテンツは増え続けています。タスクの細分化、タスクの優先順位、タスクの納期管理……さまざまなツールがあり、さまざまな運用法がありますが、それだけで解決しない課題もあります。

タスク管理の方法をどれだけ知っても、知識だけでタスク管理が機能するというわけではありません。タスク管理の最も基本的な側面は「タスクリスト」の作成です。しかし、これを作成して並べるだけでなんとかなるのかといえば、そうはなりません。「実行したい」というエネルギーが必要不可欠なのです。

多くの「タスク管理」はモチベーションが十分にあることが前提になっています。やりたくない人に無理矢理やらせても無駄が多いので、それは当然のことなのですが、同じ人でも体調の波によってモチベーションの不調はやってきます。そういう時に乗り越えるノウハウを知っておくことは重要だと思います。


◆その願望はリアルなのか

比較的「雇われ仕事」で発生するタスクのモチベーションはシンプルです。なぜならば、やらなければ必ず何らかのペナルティがあり、後で困ってしまうことになるのでやらざるを得ないのです。問題は、自分で何かのプロジェクトを推進する時などで、どの選択肢も同じ程度に実現性に乏しい気がする時です。

どのタスクをやっても大した成果が出なさそうに感じる時、脳は何かの決断や選択を拒絶するようです。「やっても無駄かも」と思えるタスクに気持ちよく着手することは案外難しいのです。もちろん悩まずに、その「やっても無駄かも」をひとつひとつ根気強く潰すのが合理的なのですが、そうもいきません。

よく、起業に関する本を読んでいると、たいていはこのフレーズがでてきます。「成功したときのイメージを心に描こう」と。結局「夢」が大切なんですか……と軽視しがちですが、エネルギーが低下してきた時、最後にモノをいうのは自分の中にある「理想」をどれくらい本気でイメージできるかに尽きます。


◆非現実イメージが邪魔をする

非現実化イメージというのは恐ろしいモノです。何かを始める時には周囲から「できるわけないさ」といわれる言葉を背にして奮起するのですが、長期戦になってきて成果が上がっていないと、無意識が「簡単にできるわけないよなあ」に変わってしまいます。信じていない目標に向かって惰性で進むだけです。

自分自身が「現実化を信じていない夢」に向かって歩き続けるのは、ただツライだけです。開業当時の自分自身の気持ちに背を向けて歩き続けられるわけがないのです。事業を動かしていく人に必要なことは、自分の計画をできるだけ多くの人に宣言することだと思います。厳しい相手ほど効果があるでしょう。

中小企業の経営者が組織するコミュニティが存在する理由が、実は私にはよく分かっていなかったのですが、最近になって価値が分かってきたような気がします。それは自分自身の心のあり方を「自分自身に監視させる」モチベーションを得るためではないでしょうか。ごまかして生きていてはいけないのです。

2013年5月26日日曜日

ネガティブの使い方

◆ネガティブ=悪?

「そんなにネガティブになっちゃだめだよ」というように、ネガティブという言葉は忌避されるイメージがあります。そもそも「なっちゃだめだよ」という言葉自体も否定形でネガティブな響きがあります。確かに話をしていて「これはダメだと思う」とか「やっても無駄だよ」という会話にはウンザリします。

ネガティブといえば、昔から伝わる言葉で「悪事千里を走る」というものがあります。つまり、ネガティブな話題は短い時間であっという間に伝達されてしまうという意味です。今のようなデジタルネットワーク時代ではなかった頃からの言葉だと考えると、ネガティブな情報のエネルギーはすごいようです。

ただ、私は「ネガティブ情報こそが人類を現在に至るまで生存させてきた重要な要素」だと思っています。たとえば次のような状況で優先すべき情報はどちらでしょうか?……「もう少し前進すると生存に必要な泉がある」という情報と、「もう少し前進すると猛毒を持った蛇の巣がある」という情報です。


◆寝ている頭をたたき起こせ

たいていの場合、人間が生きていくために必要な情報の優先度は「ポジティブ情報」よりも「ネガティブ情報」の方が高いことが普通です。「よく食べる好きな食べ物はなんですか?」よりも、アレルギー反応も含めて「避けている嫌いな食べ物はありますか?」と聞いた方が生存に関する安全性は高まります。

このように、ネガティブなイメージは生存本能に近いところに存在しているので、ポジティブなイメージよりも反応が早いことが多いのです。たとえば、「あなたの未来の夢はなんですか?」と聞くと「特にないです」と答える人が多いのですが、「今、不満はありますか?」と聞くと即答できる人は増えます。

一時期「好き」の反対語は「嫌い」ではなく「無関心」だという言葉をよく聞きましたが、「問題意識の有無」というのもこれと同じで、基本的に「不満点」と「改善点」は対をなしています。不満がなければ便利な自動車やコンピュータは生まれなかったはずです。多くの発展は不満を基盤にしています。


◆黒を白にするということ

ネガティブなところに気がつく人は、生きているだけで「なんとかしなければならないポイント」を探し出すことに長けています。不満を不満のままにするのではなく、それを「どうすれば解決するのか」というところまで追求していくことができれば、より幸せな日々を送ることができるようになるはずです。

ネガティブなポイントの中には変えることが難しいものもあります。たとえば、「苦手な相手の性格を変える」ということは不可能に近いでしょう。しかし、「何が苦手なのか」、そして「そう思うのはなぜか」と考えていき、「相手の性格の長所にはならないのか?」と、異なった解釈を導くこともできます。

そんなに改善点の宝庫になりうる「ネガティブな人」なのですが、やはり人間づきあいをする上では気をつけるべき点があります。それは「どうせ変わらないに決まっている」という思い込みを捨てることです。「どうやったら変わるのか」を考えられるようになれば、おそらく人間関係もラクになるでしょう。

2013年5月19日日曜日

ワールドカフェって何?


◆集団ブレーンストーミング

「ワールドカフェ」という言葉を聞いたことがありますか?……私が理解している範囲で説明すると、「いろんな人の考え方=客」が「いろんな話題を蓄積したテーブル=店」をハシゴしながら、アイデアを特定のベクトルに縛られずに育てていく「ブレーンストーミングの方法」というイメージです。

ワールドカフェの簡単な進め方です。

(1)開始時の気持ちや状況を各自表明する
(2)部屋全体のテーマを決める
(3)部屋に用意した複数のテーブルに4人~5人が座る
(4)テーマについて自由に話し合う
(5)15分程度で同じ人とかぶらないようテーブルを移動する
 ※ホストだけは残ります
(6)新しいテーブルでまた(4)→(5)を繰り返す
(7)1~2時間経ったら最後のチームでまとめを発表する
(8)終了時の気持ちや状況を各自表明する

このような形でワールドカフェは進んでいきます。なお、各テーブルには大きな模造紙が置いてあり、メモを書いても絵を描いてもOKです。


◆守っておくべきルール

この「ワールドカフェ」にはルールがあります。

(1)一切の否定をしないこと
(2)何も決めないこと
(3)一人だけで延々と話さないこと

私が知っているルールはこの3つですが、「ワールドカフェ」はいろいろな場所で行われていて、レギュレーションにもいろいろと派生ルールがあるようです。

このルールを守った上で「ワールドカフェ」に参加すると、次のようなメリットが得られます。「社会的に接点のない人と同じテーマについて語れる」=「自分が生きている業界での常識とは違う視点に触れられる」ということです。「常識」を疑わなくても「自動的」にいろんな気づきを得られます。

事前に各テーブルの「ホスト」を決めておき、その人は同じテーブルにとどまることになります。それはそのテーブルで話し合われたことを、他のテーブルからやってきた「新顔さん」に語り継ぐ「店主」のような役割になります。ただ、どうしてもこの「店主」の力量が議論の質に影響する要素になります。


◆ストレスになることも?

「ワールドカフェ」を上手に活用すれば、あまり苦労せず自分一人では気づけなかったような発想に出会えることもありますが、参加者に恵まれるかどうかによってはストレスフルな状況を生むことがあります。たとえば自分が賛同できないアイデアを賞賛しなくてはならない状況も生まれてきます。

また、視点や価値観が大きく違いすぎることで「テーマから逸脱している」かのように思える状況を体験することもあります。そういうストレスの多くは「否定しない」というルールが引き起こすものですが、そういう場合の解決案があります。それは「なぜ、その話をするのかを聞く」という行動です。

「私が聞きたいのはそんな話ではない!」という対決姿勢になるのではなく、「なぜその話をするのか?」「それはどういう思想から生まれた行動なのか?」を知ることは「自分自身の思考傾向」と「他者の思考傾向」の相対位置を知ることに役立ちます。見えなかった自分の「考え方のクセ」が見えます。


◆ワールドカフェの中の人に聞きました

私自身はワールドカフェそのものに直接関わったことがないので、まだまだ理解は浅い部分があります。そこで、私が思ったことをワールドカフェを企画することの多い人にぶつけてみました。

(1)ワールドカフェの場で『何も決めない』のはなぜですか?

★オープンで創造性に富んだ会話ができる場を創るためです。
→ぜひ、ほかの参加者の異なる体験や創造的な対話を楽しんでください。

(2)話題が明らかにテーマを逸脱している時はどうすればいいですか?

★なぜ、その話題を対話するのかについて、質問をするとよいでしょう。
→その人のあなたとの異なる背景を楽しむことができます。

(3)ワールドカフェに参加して得られるものはなんですか?

★いろいろな参加者の異なる体験を楽しんだり、創造的な対話を楽しむことです。
→共有したところが見いだせると、多くの共感が得られ、新たな第一歩が創造できま
す。

(4)否定をしないというルールはなぜあるのですか?

★共有化を目指すから。つまり、共有部分の探求を行うからです。
良い悪いの判断や、強い弱い、上だ下だ、競い合いを目的とするからではないからで
す。

(5)模造紙には何を書けばいいのですか?

★決まりはありません。発表するときのメモ程度でよいでしょう。
→ですから、描くことでも良いですよ。絵など。

(6)人見知りで一言目に詰まる人は最初にどうすればいいですか?

★「私は人見知りです。」と、最初に発表されると良いでしょう。
→チェックインや自己紹介のときに、最初に話してしまいましょう。

(7)ワールドカフェが終わった後の効果的な活用例はあるのですか?

★気づきを有効活用していただきたいなと思います。
→自分では気づき得ない新しい気づきを持ち帰ってください。
→そして、新しい未来を創造してください。

(8)ずばりワールドカフェに参加することによる効能はなんですか?
★いろいろな参加者の異なる体験や創造的な対話が楽しめることです。
→そして、自分では気づき得ない新しい気づきが得られるところです。


さて、ワールドカフェにご興味を持った方はぜひ体験してみましょう。ちょっと違和感があるかも知れませんが、新しい発想は新しい刺激からやってくるのです。

2013年5月12日日曜日

すぐにタスクやりたい病

◆いつやるの?……今でしょ!

何かのタスクをこなしているとき、突如として「ひらめき」が降りてくることがあります。もう、それまでやっていたタスクに比べれば超新星のように光り輝いて、一刻も早く着手しなければ「人生の時間の損失」と思えるほどの魅力です。これ、いつやるんですか!?……と聞かれたらどう答えるべきですか?

さあ、ご一緒に。「今でしょ!」……と。そう、「今」というキーワードはものすごく説得力があります。「過去よりも今」を大事にすべきだし、「未来に繋がっているのが今」だと考えると、うかうかしていられない気分になります。今を無駄にするか有益なモノにするか……それは今の決断次第なのです。

考えれば考えるほど、ものすごい勢いで「やらなくちゃ」という気持ちが高ぶってきます。まるで神様からの啓示を受け取ったかのように、頭の中は使命感でいっぱいです。「なぜこれをやらずにいられようか!」という状況になっているかもしれません。でも、ちょっと落ち着いて待ってみてください。

◆鉄は熱いうちに打たないと

「いやいやいやいや、何を言っているんだ。今、落ち着いて待ってしまったら、今の熱い思いが冷めてしまうじゃないか!」と言いたくなっていることでしょう。その気持ちはよく分かります。人は経過時間とともにやりたいことが変わっていきます。気分が冷めてしまって結果的にできない経験もあります。

実はそこにこそ大きな問題が潜んでいるのです。人間が合理的判断をする上で陥ってしまうのが「最も優先度の高いところから始めよう!」と思うことです。「優先度の高い仕事」をやるのに反論の余地はないでしょう。しかし、問題はこういう心理状態では優先度全体が見えていなくなっていることです。

すぐにやらないといけないタスクのことを「ホットリスト」なんて呼ぶことがあります。さてここで問題です。焼きたてのパンとしばらく置いておいたパンはどちらが熱いでしょうか?……決まり切っていますよね。焼きたてのパンの方が熱いのです。そして「タスクも新しいモノこそ熱い」と思いがちです。

◆タスクの賞味期限を考える

すぐにやらないといけないと思う「危機感」には理由があります。ひとつめは「すぐにやらないと忘れてしまう」という理由で、ふたつめは「やりたいと思う気持ちがしぼんでしまう」ということです。物事は忘れてしまったら実行不可能ですし、また、気持ちが乗らなくなっても進めることが難しいのです。

ひとつめの問題を解決する方法として、「思いついた瞬間にメモを取っておく」という手段があります。そしてこの方法を使うと忘れにくいことも簡単に分かります。それでも焦る理由は「放っておいたらやる気がなくなってしまう」ということです。潜在的にはこちらの理由の方が大きいはずなのです。

しかし、重要だと思えるタスクがたくさんある中で「時間をおいたら重要性が落ちる」タスクを最優先させるべきでしょうか。おそらく違います。逆に「時間をおいても重要性が変わらなかった」タスクを優先すべきです。つまり新鮮なタスクほど時間をおく必要性があるのです。ちゃんと見極めるために。

2013年5月9日木曜日

私の永遠の敵「調査タスク」


◆「調査」がタスクをせき止める

私はタスク管理にExcelベースのマクロアプリで「TaskChute2」を利用しています。このツールの使い方としてユニークだと思うのが、「タスクを定型化する」という考え方です。そして、その定型化ができるまではひたすら「実行タスクを記録する」ことが推奨されています。

これは「二度あることは三度ある」的な発想で、一度行った行動をテンプレート化することになるので、タスクを記録して適切なレビューを実施すれば効率化が加速するというわけです。しかし、実際にこれを業務で実践しようとすると、なかなかうまくいかない部分もでてきます。

特に「調査しないと前に進めない」というタスクが多いと、タスクの管理と実行が鈍くなりやすい傾向があるように思います。たとえば何かを便利にする仕組みを開発しようとすると、その仕組みの機能要素が実際に実現可能なのかどうかを確認する必要があります。

【参考例1】Aの機能が実現できるかどうかを調べてみた
 (1) Aの機能を実現させることは可能
  (2) ただし、Aの機能を使うためにはBとCの環境準備が必要

【参考例2】Aの機能が実現できた場合に必要となるタスクを事前検討した
 (3) Aの機能が実現したときに事前に考慮しておくことのリストを作っておく
  (4) Aの機能を実現するための仕組みの中で選択肢が定義済みだった

この参考例だけでもタスク見積もりの難しさがいくつか見えてきます。


◆タスクが現れたり消滅したり

(1)先ほどの参考例のひとつめの壁は、Aの機能を実現させる方法のバリエーションを調べるコストです。特に前例があまりないような仕組みを作ろうとした場合、調査しようとしてもネタそのものの母数が著しく少ない可能性があります。ネタが著しく少ない場合、それを探し当てるだけでも予測時間を越えてしまうでしょう。

この「実際に調べてみるまで分からない」という不確定要素がタスクの根本にある場合、全体のスケジュールを大きく揺るがすことになります。

(2)運良くいくつかのネタが見つかった場合でも、そこから細かく派生する調査タスクが生まれることがあります。先ほどの場合では、Aの機能を実現させるためにBとCという前提条件を調査する必要が発生しています。場合によってはこれ以上出ることもありますし、Aの選択肢が複数ある場合はさらに広がる可能性があります。

こういう「開けてみたらすごいことになっていた」というケースもよく遭遇します。この派生タスクには費用調査もセットでつくことがあります。

(3)実際にどのような仕組みを使ってAの機能を実現するか分かっていない状態の中でも、それなりに思いつける内容はあって、プランニングの時点でできるだけ「リストアップ」なり「洗い出し」なりをしたくなるわけですが、経験が少ない領域であればあるほどフリーハンドで絵を描くが如くリストがふくれあがることもあります。

たいていの場合、要件定義を細かくすればするほど、現実と理想がかけ離れていた時の時間的コストがふくれあがってきます。

(4)そして残念なことに「具体的な選択肢」を見つけた時点で、せっかく(3)でいろいろ考えたリストアップが無駄になってしまうこともあります。基本的にプランニング時点で道筋をクリアにできることが好ましいのですが、こういうことはよく発生しがちだと思います。

もちろん最初から(4)の事実が分かっていれば無駄なリストアップのタスクは不要だったわけですが、まぁ、覆水は盆に返ってきません。

私は基本的に「プランニングでなんとかしたい派」なのですが、こういうことがあると「実際に走ってみないと何も始まらないよね派」に同意せざるを得なくなってしまいます。

しかし、ここで愚痴を言っていても仕方がありません。私なりにこの問題の解決方法を考えてみました。もちろん他にもいいノウハウがあるかもしれませんが、まずは私が考えた方法をまとめておきたいと思います。実はまだ検証していないアイデアもあるので「机上の空論」なのですが、私は記憶力に不安があります。

霞のように消えてしまう前にここに書き残しておこうと思います。実際に試してみてどうだったこうだった……というノウハウをお持ちの方、コメントをお待ちしております。


◆小刻みな記録と確認

「Taskchute2」でタスク管理を行う場合、本質的に「はじめての案件」は「タスク記録」が大前提になります。私はこういう場合、記録するタスク名として「Aの機能の調査(120分)」と大雑把に書いてしまいがちです。そして最悪なことに、他の割込みタスクに身体と頭を持って行かれた後に、しれっと「Aの機能の調査(120分)」というタスク名を追加してしまうことがあります。

でもこの方法だと後からレビューしたときに何の役にも立たないことに愕然とします。結果として「Aの調査のタスクには480分かかったんだなあ」という事実を知ることはできますが、一体、どういう経緯でそのようになってしまったのか……というトラッキング(追跡調査)ができないのです。

そして新しい調査案件が発生するたびに、同じように不幸な「使途不明タスク」や「見積もり不能タスク」が生まれてしまいます。大雑把なタスク記録は「ああ、調査って大変なんだな」とか「ああ、調査タスクって見積もりできないんだな」という悲しい後ろ向きの経験知に直面します。

そこで試してみたいのが、「細分化記録」です。これ、「Taskchute2」の紹介記事などでスマートに「プランニングして、あとはタスクを淡々と実行!」とか「『思考』と『実行』を分けるとこんなに快適!」というハッピーストーリーを知っていると、すんごくストレスがかかります。

具体的には「Aの機能の調査」というタスク名を複製していって、タスク名に情報追加をしていくんです。「Aの機能の調査→前提環境(30分)」とか「Aの機能の調査→プラグイン調査→費用(15分)」とか。ただ、海外の技術の場合、たまに「どこの国だよ?」というサイトに行き着いて途方に暮れることもあります。

ただ、きっちりと記録することができれば、自分の調査の「パターン」というか「クセ」が分かるかもしれません。全体的に「どーでもいい領域の調査」に時間をかけているかもしれません。なので記録をしっかり残して、かつ、きっちりと「レビュー」という名の反省会をやっておけば、パターン解析によって調査行動の無駄が減るかも知れません。


◆小さめのマイルストーン設定

先ほどの方法、実は本当にやろうと試みたことはあるのですが、納期が迫っていたり他のタスクとの兼ね合いで、結局「仕方ない、どんぶり勘定でタスク名を付けておくか」となってしまい、最後までできた試しがありません。ひとつ疑問が湧くたびに調査タスクを追加することは想像以上にストレスフルです。タスク管理ができていない自分に対するストレスなんでしょうけれど。

特に派生した調査アイテムリストが10項目を越えてしまうと、一気にモチベーションが下がります。たいてい、そういう時はリストを全部出し切ったわけではなく、リストが増加傾向の過程にあることも珍しくありません。そこで二つ目の方法です。あんまりスッキリしないといえばそうなのですが、こちらはやや現実的です。

それは、タスクの目標を「小さなマイルストーン」に区切っていくというやり方です。たいていのタスクには「相談する」というフェーズがあります。企業組織で働いている場合は上司がいますし、独立起業している場合は仕事のパートナーがいます。それが場合によってはお客様であることもあります。

「ここで○○を調査しようとすると、スケジュールがこれくらい押しそうです」という相談ができるのなら、そういう小さいマイルストーンごとに確認していくのがいいのかも知れません。もちろん、ここにも落とし穴があって、「いつまでたってもズルズルと先に進めない」とか「調査の深みにはまっていく」とか、挙げ句の果てには「見当違い」だったりするリスクもあります。

また、「あんたらはプロなんだから、わたしらに相談するんじゃなくて、自分で解決してください!」と言われることもあるでしょう。このあたり、どちらの選択肢にもツライ局面があるといえばあります。上司の場合でもそうですね。「ったく、なんだよ、いちいちいちいち、そんなこと自分で考えろよな……」という表情に遭遇するかもしれません。

ま、でも、ひとりでいろんな判断を抱え込みすぎて、スケジュール的に致命的で取り返しのつかない事態に直面するよりは、小刻みにアラートを出していく方がプロジェクトの安定性は上がると思います。自分の評価が下がりそうだという不安はあるかもしれませんが、まあ、そこは実際に甘受するしかないのかもしれません。自分の未熟を恥じるしかありません。


◆「やるか」「やらないか」を時間で切る

自分自身の裁量でプロジェクトを進行させている場合、最初に「閾値(しきいち:物事を判断するための指標)」を決めておくというのも重要なポイントかもしれません。たとえば「○○の実現方法をリストアップする1(30分)」、「○○の実現方法をリストアップする2(30分)」、「○○の実現方法をリストアップする3(30分)」というタスクを先に「Taskchute2」に放り込んでおいて、その決めておいたスロット以上は使わないと決めておくんです。

最良の場合、90分以内に3つの具体案が3つのスロットに収まっているはずです。この場合、ひとつのスロットにかけていい時間は30分だけです。30分を越えそうになった時には、「Taskchute2」のコメント欄に参照先URLを貼って「次いってみよう!」と、強制的に進んでしまうわけです。実際にやってみるとおそらくスッキリしないに決まっているのだけど、利用できる時間が決まっている場合、こうするしかないのかなと思います。

今回の参考例の場合、「Aの機能を実現するために……」しか書いていませんが、実際に仕組みを作ろうとした場合、きっとそれ以外の要件定義が複数あるはずです。細かいところを「未解決」にしたまま進むのは気持ちが悪いし、そもそも達成感が満たされないかもしれませんが、すくなくとも「それぞれの要件定義」にかかる「調査コスト」がざっくりと分かるはずです。そして、まずは「調査コストが分かる」ということが正しいのかも知れません。

すると、「調査コスト」と「機能の重要性」のバランスを踏まえた上で「本当にこの機能は時間とリスクをかけてまで必要なものなのだろうか?」という本質的な判断ができるかも知れません。たまに見かけるのは「見かけ上だけのどうでもいい機能」が「もうちょっとでできそうだから」という理由で「作業時間がズルズルと伸びていく」という現象です。これはどうにも悲劇ですが、開発現場で冷静さを失うと陥りがちなトラップです。開発の最前線にいないマネージャの立場はとても大切です。

ちなみに、全部の「調査コスト」がまんべんなく高コストだとしたならば、そもそもその仕組みを開発するスキルや技術が「致命的にない」ということかもしれません。そういう場合は悔しいことですが、勇気を持ってその企画から撤退する選択を迫られるかもしれません。予算が潤沢にあれば足踏みをしていてもかまわないのですが、そうでない場合、じりじりとクライシスに向かって行進している可能性が高いからです。


◆「結局何もやっていない」というリスクも

時間で実行判断をするというのは一見したところ効率的です。しかし、この方法にもリスクがあって「早めの損切りができる」代わりに「結果的にすぐにあきらめて何もやれていない」という結果に陥るリスクもあります。しかし、「リミットとする時間設定」が適切であればそこそこ正しい結果を導けそうな気がしています。ただ、この「リミットとする時間設定」を長くしすぎてしまうと、ダラダラしてしまうリスクもあって難しいところです。

さて、あらためて今回の【参考例】の最適解を妄想してみると、

「Aの機能を実現する方法をリストアップする1(30)」
「Aの機能を実現する方法をリストアップする2(30)」
「Aの機能を実現する方法をリストアップする3(30)」
「Aの機能を実現性と重要性について検討する(30)」
「Aの機能を使うための基礎研究(30)」

というタスクスロットを作る方法がいいのかも知れません。でも、これまた所詮「机上の空論」なので、実際には「Aの機能を使うための基礎研究」タスクがうだうだと増殖してしまう可能性もあります。このあたり、腕のいいプロジェクトマネージャが「リスクのある未知の技術」に挑む場合はどのようにプランニング保全をしているのでしょうか?……とても気になります。

まぁ、もっとも、「未知の技術」という時点で「開発」というよりも「研究」というカテゴリで考えるべきなのかも知れません。「iPS細胞」を使った新しい治療方法も「○○までに実現させます」ではなく「○○までに実用化を目指す」的な感じですから。

ちなみに、今回の【参考例】を「仕組み開発」にしちゃったので、たとえが適切ではなかったような気がしますが、私が書きたいことはあくまでも一般的なタスク管理のことです。

「技術力が低いヤツが自分のスキルを越えたことをやろうとしていること自体が間違っている」とかというお話をいただいても、ちょっとアレなんですが、私のタスク管理に対する葛藤とそれに対する解決策がちょっとでも伝わって、しかもそれが誰かにとって有益な情報になってくれたら嬉しいです。